倉渕ダム

 今回紹介するダムは計画が中止された倉渕ダムです。倉渕ダムは群馬県群馬郡倉渕村に建設される予定でした。後に倉渕村は高崎市に編入し高崎市倉渕町となりました。群馬県と高崎市、さらに国がこのダムの建設に関わっており、高崎市は水道用水を確保する計画でした。しかし水の需要が予想より伸びていない事と市の財政問題により高崎市はダム建設事業から撤退を決めました。その後群馬県は、計画を見直し治水専用のダムとして計画を改めましたが、費用対効果が低いことから計画自体を白紙にしました。高崎市は、新たな水源を矢木沢ダムからの水を群馬用水榛名幹線を経由させ烏川に導くことで確保することにしました。

 倉渕ダムは堤高85.4m、堤頂長386.4mの重力コンクリートダムとして計画されました。利根川水系烏川に建設される予定でした。目的は洪水調節、不特定用水、河川維持用水、上水道用水です。洪水調節としては、下流の君が代橋地点において洪水ピーク流量2800m3/sを2600m3/sに低下させる役割があります。放流設備は非常用洪水吐6門(クレスト自由越流)、常用洪水吐1門(オリフィス自然調節)、止水放流設備2条です。表面取水設備は未定です。

 平成2年に建設工事に着手しました。平成6年には付け替え県道工事に着手し、平成14年に付け替え県道が完成しました。翌年の平成15年には用地買収が完了しました。しかし同年事業が休止されました。

 群馬県公共事業再評価委員会第4号議案 倉渕ダム建設事業の参考資料(平成22年3月県土整備部 河川課作成)によると、事業費ベース(全体で400億円)で計画の40.5%にあたる161.92億円が既に使われていました。内訳は群馬県が142.33億円、高崎市が19.59億円です。調査・設計に関しては計画の92%に達しており、建設開始の直前で中止が決定したことがわかります。また用地買収と県道付け替え道路は100%であり、計画がかなり進んでいたことが予想できます。今回のレポートではダムサイトと付け替え県道について紹介します。

<資料1>群馬県公共事業再評価委員会第4号議案 倉渕ダム建設事業の参考資料(平成22年3月県土整備部 河川課作成)
<資料2>群馬県公共事業再評価委員会第4号議案 資料-2
<資料3>群馬県-倉渕ダム- http://www.pref.gunma.jp/06/h4010133.html


 ダムサイトに到着しました。といっても看板以外何もありません。写真の場所はダム軸の上です。

 ダム軸の看板がある周辺を見渡すと立派なとトンネルと道路があります。トンネルの名前は鷹ノ巣トンネルです。この写真は上流側(北軽井沢方面)から下流側(高崎市街地方面)を見た様子です。広い歩道が付随した立派な道路ですが、ほとんど車は通行しておらず、タヌキなどの野生動物のほうが多く利用するのではないかというレベルです。


 鷹ノ巣トンネルの出口の反対側に移動しました。沢がある場所には欄干が緑色の橋が掛けられています。この橋は平成10年6月に完成した新鬼神橋です。


 橋のそばに広場がありました。駐車場には数台の車が置けるスペースがあります。おそらく案内看板や見学施設を設置するはずの場所だったに違いありません。


 広場から上流側を眺めた景色です。下に写っている道路は谷に降りるための旧道です。旧道への入り口は封鎖されているため谷底に降りることはできませんでした。堤高が85.6mあるので、この景色もダムによって大きく変わってしまうはずだったに違いありません。




ダム名 倉渕ダム
堤高 85.6m
堤頂長 386.4m
形式 重力式コンクリート
ダム湖名 未定
貯水容量 11600千m3 (多目的)→ 6300千m3(治水専用)
所在地 群馬県群馬郡倉渕村(のちに倉渕村は高崎市に編入し、高崎市倉渕町となる。)
駐車場

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